塩田平~丸子~小諸
田んぼの中を縫うように走るひとすじの道は、信濃守護塩田北条氏と鎌倉幕府を結んだ鎌倉街道とよばれる。この地に鎌倉文化が開け、山際には古寺が並び立っている。その中に客番の北向観音堂がある。善光寺が来世への利益、北向観音が現世での利益をもたらすとされ両方を参詣しないと「片参り」になるとされる。次に訪れるのは依田川の西にある23番宝蔵寺で、切り立つ岩山の中腹に食い込むように立つ朱塗りの観音堂が印象的だ。28番龍福寺は依田川に架かる腰越橋のたもとを南に折れ、集落のはずれの参道を登り切った雑木林の中に、ひっそりと建っている。「布引観音」という名で広く親しまれるのが29番釈尊寺。圧倒されるほどの岩がそびえ立つ中を歩いて観音様とご縁を結ぶことができたときの感慨はひとしおである。