中条~小川

30番正法寺より33番高山寺にいたるまで幾重にも重なる山々を望みながらの巡礼になる。

札所結願の寺は小川村の高山寺。いま現在は鳥の声だけが響く静かな山里も江戸時代まで戸隠道とよばれ、大洞峠から鬼無里、戸隠、柏原を経由し越後へと通じた。かつては坂上田村麻呂や平惟重も通り、江戸期には信仰の道としてそして物資輸送も盛んな交通の要衝となった「戸隠街道」である。その名のごとく日本屈指の「高山」であるアルプス連峰を間近に見渡すことができる。

この屏風のごとき山々の絶景も結願の喜びとともに生涯忘れ得ぬ思い出になるだろう。

西山・戸隠街道エリア地図

札所紹介

30番札所
歓喜山正法寺
正法寺の写真
ご本尊名
聖観世音菩薩
宗派
真言宗豊山派
所在地
〒381-3202 長野市中条日下野1874
TEL
026-267-2319
駐車場
仁王門前
開山・開基
坂上田村麻呂(大同年間)
ご詠歌
正法寺 月は三ヶ野の 峰に出で 下る片丘 寺のともしび

僧・行基が手ずから刻んだ聖観音像を奉安したのが創建とされ、大同年間(9世紀初頭)に坂上田村麻呂が東征の折、この地に堂宇を建立したと伝えられる。本尊の木造聖観音立像は、行基より時代が下がる藤原時代中期(900年代)の作。傷んではいるがふくよかな表情をたたえた美しいお姿が特徴。江戸末期、日照りに苦しむ村人がワラでつくった龍にこの観音様が生命を与え、たちまちに雨を降らせたという伝説があり、雨乞いのご利益で知られている。

31番札所
慈眼山広福寺
広福寺の写真
ご本尊名
聖観世音菩薩
ご本尊愛称
乳出し観音
宗派
曹洞宗
所在地
〒381-3204 長野市中条御山里8859
ご朱印はこちら
〒381-3302 上水内郡小川村大字高府15625(明松寺)
TEL
026-269-2088(明松寺)
駐車場
観音堂下の公衆トイレの横。
開山・開基
不詳
ご詠歌
広福寺 誓を頼む 八重桜 峰の嵐も 吹きや散らさじ

虫倉山の西南麓、山懐に包まれるように観音堂が建っている。弘化4年(1847)の善光寺地震の際には山崩れが山を襲ったが、観音堂を潰して奇跡的に止まった。そこで村人たちは観音様が村を守って下さったと喜び新たな観音像を迎えおまつりした。古くより、乳の出ない女性がこの観音様に米2合をお供えし、既に備えられているお米を持ち帰りご飯に混ぜて食べると乳の出が良くなると信じられ、仏前にはいつもお米が山のように供えられていたという。

32番札所
椿峯山西照寺
西照寺の写真
ご本尊名
聖観世音菩薩
宗派
真言宗
所在地
〒381-3301 上水内郡小川村大字稲丘4031
ご朱印はこちら
〒381-3301 上水内郡小川村大字稲丘7119(高山寺)
TEL
026-269-2568(高山寺)
駐車場
あり
開山・開基
不詳
ご詠歌
椿峰や 高き恵みは いかばかり 深き罪身も 浮かぶとぞ聞く

開基や盛衰の歴史について、詳しい記録はないが、付近の地名に「寺屋敷」「大門」「仏迎田」などが残っていることから見て、地域の人々の信仰篤い大寺だったことがうかがえる。善光寺地震による崩落をはじめ、数度にわたる山崩れに遭って、堂宇はことごとく地中に埋まってしまったが、地域の人々の尽力で、観音像や仏像はその都度掘り出され、観音堂も再建された。現在もみごとな彫刻の施された観音堂に本尊の聖観音をはじめ13体仏像が安置され、近隣の人々に大切に守られている。

33番札所
宝珠山高山寺
高山寺の写真
ご本尊名
聖観世音菩薩
宗派
真言宗豊山派
所在地
〒381-3301 上水内郡小川村大字稲丘7119
TEL
026-269-2568
web
https://www.kousanji.org/
駐車場
あり
開山・開基
坂上田村麻呂(大同2年807)
ご詠歌
高くとも 安く登れよ 寺坂を 九品浄土へ 参る身なれば

信濃三十三観音巡拝、結願の高山寺は、北アルプスの山並みを望む展望の地にある。端麗な三重塔は建久6年(1195)、源頼朝の建立と伝えられるが老朽化し、元禄時代に虫倉山中で修行中の木食山居上人に勧進を願い、五年がかりで十数万人の喜捨を集めて再建した。塔内には如来三尊が本尊としてまつられている。なお本尊は秘仏で、年に一度、8月10日に開帳している。雨乞い、火除けの観音様として名高い。

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