飯山~須坂

谷街道は稲荷山(千曲市)を起点として、千曲川東岸を北上して飯山に至る。

19番菩提院はかつて戸隠山、飯縄山とともに北信濃の三大修験道場のひとつとして名高かかった小菅山の本坊、小菅山大聖院の「桜本坊」を前身とする。

菩提院より米子大瀑布方面に向うと鎌倉時代に信州と上州を結ぶ交通要衝としてにぎわった大笹街道の近くに「べべ出し観音」というユーモラスな別名を持つ蓑堂がある。旧本堂は、昭和40年代の松代群発地震で倒壊し人を寄せ付かないような岩山の頂きにある。

蓑堂を南西に行くと仏頭を意味する「高顕」の名を持つ10番高顕寺が見えてくる。

谷街道・大笹街道エリア地図

札所紹介

19番札所
小菅山菩提院
小菅山菩提院の写真
ご本尊名
馬頭観世音菩薩
宗派
真言宗 智山派
所在地
〒389-2322 飯山市瑞穂7082
TEL
0269-65-3406
駐車場
観音堂前
開山・開基
役小角
ご詠歌
小菅寺 南を見れば あづまやの 誓を頼み 願ふ後の世

戸隠山、飯縄山とともに北信濃の三大修験道場のひとつとして名高かった小菅山は、古来天下に知られた神仏一体の霊場。その本坊、小菅山大聖院は隆盛を極めたが、そのため幾たびも戦渦に巻き込まれた。その都度復興してきたが、明治政府の神仏分離令の際、小菅神社と寺が分けられ、大聖院の法具類は菩提院に継承され、本尊や両界曼荼羅図(県宝)が菩提院に護持されている。ご本尊の馬頭観音は弘法大師の作と伝えられ、古くから家畜の病や災い避けに霊験あらたかと信じられている。近年、パワースポットとして小菅山は注目を集めている。

9番札所
蓑堂山蓑堂
蓑堂の写真
ご本尊名
十一面観世音菩薩
ご本尊愛称
べべ出し観音
宗派
不明
TEL
026-248-2132 ※要事前連絡
駐車場
樋口政宏宅近く
開山・開基
不詳
所在地
〒382-0023 須坂市大字米子61(樋口宅)
ご詠歌
井の上や 夜な夜なきたる みのん堂 雨はふるとも 身をばぬらさじ

名勝米子大瀑布への道筋に見える奇岩絶壁は雨具の「蓑」に似た山容から蓑堂山と呼ばれる。昭和40年代の松代群発地震により、山上のお堂が傾いたため、本尊の十一面観世音菩薩は麓の樋口家宅にて遷されて大切に安置されている。俗に「べべ出し観音」とも呼ばれるのは、急峻な坂や岩場をよじ登って参拝する際、女性の着物の裾が乱れ、後ろから登る男性の目に思わぬ“ご利益”があったからだとか。江戸時代後期、祭事で村が留守の間に火事が起きたことから「お祭り嫌いの観音様」としても知られている。

10番札所
妙徳山高顕寺
高顕寺の写真
ご本尊名
千手十一面観世音菩薩
宗派
真言宗豊山派
所在地
〒382-0034 須坂市仁礼869-2
TEL
026-246-8583
駐車場
あり。大型不可。
開山・開基
行基
ご詠歌
あづまやの 川瀬の波の 音聞けば み法の船の たがわざりけり

奈良時代、僧行基の開山と伝えられ、寺の隆盛を極め鎌倉時代末期には32堂の伽藍を配す荘厳な寺であったという。本尊の千手千眼観世音菩薩は鎌倉時代末期の木彫仏で、平成19年に改修された観音堂に安置されている。明治の末頃の実話として、村有林盗木の嫌疑をかけられた炭焼きの老人が、拷問に耐えかねて嘘の自白をし、自殺をしようとしたところ、ご本尊が現れて「罪は晴れる」と告げて死を思いとどまらせたという。その後真犯人が逮捕され老人は観音様への感謝と功徳を伝えようと寺の鐘つき男として生涯を過ごした。

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